ラストバトル

美由紀と早百合が向かい合ってリングの真ん中に立っている、よいよ卒業試験だ。
  二人のうち一人だけが卒業、しかも因縁の対決、来るべきときが来たのだ。
二人はトップレス姿にされ、美由紀は赤、早百合は青のグローブ、トランクス、
そして二人と 白いマウスピースを口にはめされられた。
  セコンドは今までとは違い、もうそこに親友の姿は無い。学校の用意したセコンド
が黙って試合を見ているだけだ。
  朝一番のイベントで、卒業試合は全校生徒が見つめる中、朝10:30からスタート
となる、涼しい朝だが、二人の体はしっとりと汗ばんで緊張の色を隠せない。
  もはや二人の間に言葉は無く、じっと見詰め合うだけであった。

             カーン

ゴングが鳴った。それと同時に美由紀が飛び出す、そしてジャブを小刻みにパシパシ
と当てていくが、技巧派の早百合は冷静にブロックする。
  早百合は冷静に、ガードしている自分の腕の隙間からじっと機会を伺った。
美由紀のパンチが大振りになった瞬間、早百合は半歩前に出て右フックを放った。
ズバッ!!完全にヒットし、美由紀の動きが止まった。美由紀の口からマウスピー
スが口からもっこり出てきた。さらに早百合の左フック!今度は美由紀の頬にグロ
ーブがめりこみ、顔が変形し、ひしゃげた口からマウスピースが飛ぶ。
トーンとマウスピースがリングを一度跳ねて、グロテスクな歯型のついた表を上に
して止まった。しっとりと表面が濡れている
  美由紀がフラフラと腰から崩れ落ちそうになるが、ロープにもたれかかって体制
を直した。
  早百合はここで一気にダメージを与えようと、美由紀に襲い掛かる。
「来たね!待ってたわ!」美由紀が叫んで、ロープに思い切りもたれかかり、反動で前のめりになった。
早百合のストレートが美由紀の頭のすぐ上をかすめた。
ボグッ
がらあきになった早百合のボディに美由紀のパンチがめり込んでいた。
「ゲボッ!!」
早百合がマウスピースの隙間から唾液を噴出した。今度は早百合の動きが完全
に止まった、気が付くと美由紀のグローブが目の前に迫っていた。
スバシャッ!!!ストレートが早百合に炸裂して、早百合の唾液まみれのマウス
ピースが華麗に宙を舞った。マウスピースは証明の光を受けて唾液がヌラヌラ光っており
観客にはその場面で時間の止まったように見えた。
ボターンと大きな音をたててマウスピースが大きく跳ねる。そしてトントンと小刻み
に跳ねてゴロンと裏側に転がった。
「ああ、うう、」早百合がたまらずクリンチする、早百合の汗ばんだ体と美由紀の汗
ばんだ体が密着する、早百合の鼻腔に美由紀の脇の汗の匂いがむっとする、
顔面を殴られたダメージで早百合は少し意識が朦朧としている。
そして、早百合がクリンチからズルズルと腰を落とし、リングのうえに正座する形になって
しまった、そしてそのまま前に倒れこんだ。

 

ダウン!レフリーの声が早百合には遠くからの声に聞こえた。
(厳しい・・・立たなきゃ、立って勝たなきゃ・・・勝って、美由紀の腰ぎんちゃくみたいに思われないようになりたい!)
小百合がゆっくりと体をおこす、ダメージはそこまでないようだ。
ハァ、ハァと息を吐いて、そのまま立ち上がった。
「はい、マウスピースを二人とも装着して!」
レフリーに言われて、二人はそれぞれのマウスピースを拾って口に装着した。
ファイト!の声でまた美由紀は前へ前へ飛び出す!!。
美由紀のジャブ、同じように早百合は両腕でガードする。
「これはどう!」美由紀がそのガードをアッパーぎみのパンチで粉砕した、両腕が完全に
開き、早百合の顔から腰までがあらわになった。
ドスッ「ふぐぅ」
鈍い音と苦しそうな声がした、早百合の鳩尾に美由紀のグローブが手首のあたり
までめり込んでいた。
  「オエッ」

バシャッ!!

 

美由紀が嘔吐して、透明な胃液の塊を吐き出し、それは二人の足元に落ちてバシャッと音をたて
て飛び散った。
ドスッ「ゲボッ」
さらに二発目がボディに同じようにめり込み、早百合がさらに胃液を美由紀に吐きかけた。
ピチャピチャと顔に付着している胃液を、美由紀は全然気にしていないようであった。
「これでマットに沈むのよ!」最後に懇親の力をこめて美由紀は早百合のボディにパ
ンチを放った。
    ボグゥッ!!
「おべぇっ!」
早百合はボディへの苦しさと口の中の胃液の匂いで苦しくなり、マウスピースを吐き出
した。美由紀がそのマウスピースをあいた手のグローブでキャッチした。
「これが私たちの最後の試合よ、残酷なまでに非情なリングの上のね」
そういってマウスピースを早百合の口に戻した、早百合はマウスピースをくわえながらも
口の端から胃液がまだこぼれていた。
(美由紀は本当に全力で来てる・・勝てるの?・・・私勝てるの?・・・)小百合を絶望感が襲った。
自分の拳を思い切り美由紀にぶつけたい、しかしそれが果たしてできるだろうか。

カーン

ゴングが鳴り、早百合がそのまま前に倒れた、セコンド(後輩)が急いで起こして、自分の
サイドへつれて戻った

「どうですか?先輩、勝てそうじゃないですか?」美由紀側のセコンド(後輩)がマウスピースを
洗いながら話しかけてきた。
「そうね、でも小百合は私の生涯のライバルだと思う、倒しても倒しても起き上がってくるのが早百合、
その粘り強さ、油断は絶対出来ない。容赦無く、もう立ち上がれないほどパンチを浴びせる」
「大丈夫ですよ、先輩の強さだったら、第一、ここにいる後輩達はほとんど美由紀先輩が勝つと
思ってるんですから。」
(小百合に負けるわけにはいかない、私は小百合よりいつも一歩出てなきゃ。
  小百合は私の可愛い妹みたいなもの、頼られる存在でなければ! )

一方、小百合サイド。
「ごめんね、我慢できずに吐いちゃった、マウスピースも・・・・アレまみれで洗わせるの悪いん
だけどおねがいね・・・」
「センパイ、大丈夫ですよ、こんなの毎日やってますし、セコンドのことは気にせずに試合
頑張って下さい!」
後輩はそういってバシャバシャとマウスピースを洗い始めた。早百合は自分のボディを見た、
真っ赤に晴れ上がって、誰が見ても効いているようだった。
(ボディを打たれないようにしなきゃ・・・もう耐えれないかも・・・) 

 

 

 

カーン

2Rが始まった。

このラウンドも美由紀はしょっぱなから出て行く、ボディを強く打たれた早百合は少し前かがみになって
同じく防御に重点をおいて構える。
ズバーン!!
防御をかいくぐって美由紀の18番、コークスクリューパンチが早百合の頬にめり込んで回転した。
(これが私の最高技術の結晶よ!)
「ぶぶぇっ・・・・」
はやくも早百合のマウスピースが口から吐き出される、マウスピースから早百合の口に唾液のラインが
出来て下から見ていて、観客からは光っているように見えた。マウスピースは早百合から1メートル
離れた位置で大きくバウンド、そして数回バウンドしてごろりと転がった、唾液が大量についている。
(やられた・・・苦しい・・・)
「ぶっ」さらに口に残った唾液を真上に吐き出して早百合は仰向けに倒れた。その上に吐き出した
唾液がパラパラと振る。ハァハァと肩で息をしている早百合から汗と唾液の匂いが甘く、そして酸っぱく立ち昇る。
レフリーがカウントを数えだした。
ファイト!

早百合の目が少し泳いでいる。

ガッ!ガッ!
早百合が往復でフックを食らっている。
ガッ!ガッ!
早百合の目が完全に泳いでいる、そして無慈悲にもロープぎわで強烈なアッパーが早百合のアゴを
とらえた。
「ぶひゅっ!」
それでも早百合は崩れない、すぐにファイティングポーズをとるが、目の焦点が合っていない。
そして早百合の口から少しはみ出たマウスピースに血の筋が現れた。
バシュッ!
さらにフックを食らって、早百合の口から血と唾液のしぶきが散る。
早百合の腰が少しずつまた落ちてきた、そのままズルズルと座り込むようにして、そのまま
うつぶせにダウンをしてしまった。
誰もが早百合の負けを確信している。
カウントスリーで、小百合はハッと気が付いた。
(いけない、立たなきゃ、こんな無様な倒れ方して・・立たなきゃ)
懇親の力をこめて、小百合は立ち上がる。
(これで終わった・・・小百合、悪いけど私の勝ちね、これまでよ)
小百合は自分の汗の量が多いことに気が付いた、ベトベトして不快だ。
きがつくとカウント7まで進んでいた、小百合は急いで立ち上がる。
「出来る?大丈夫?」レフリーが早百合に声をかける、
「出来ます!」
早百合は美由紀の方をじっと見据えている。
(倒れない、何故なの?)美由紀が少し動揺した。
(美由紀に頼ってばっかりいられない、もっと強く、もっと強く!)小百合の拳に力が入る。
「ファイト!」レフリーは試合を続行 した。
ズガッ!!
間髪入れず、美由紀のコークスクリューアッパーが 早百合の顎をとらえた。
「うぶっ!」早百合の口からマウスピースが凄い勢いで飛び出した。
血まみれのマウスピースはゆっくりと宙に舞い、まるで内臓の一部のように見えつつもライトで唾液のため
キラキラと光って見える。
ビチャッ!ビチョッ!ビチョッ!マウスピースは何度も跳ねてついにリングの外へ落ち、それでも数回跳ねて
唾液を撒き散らしながら転がった。
完全にマウスピースの動きが止まった後、早百合のセコンドがそれを拾う。生暖かくて唾液と血まみれで
何度も手を滑らして落としそうになる。マウスピースからは早百合の歯茎と唾液の匂いが入り混じって
刺激臭がする。マウスピースを見るからにもう試合は決まったように見えた。
しかし早百合は倒れていなかった。
(交通事故にも遭ったみたいな衝撃・・・でももう倒れちゃいけない!)
「行くわよ!」小百合が前に出た。
そこまで積極的に出る小百合を初めて見て、 美由紀は動揺した。
早い、気が付くと、目の前まで小百合の拳が迫っていた。今までにない速さだ。
ドゥンッ !!
ストレート一発!
一瞬で美由紀はマットに叩きつけられていた。
物凄い衝撃で、美由紀は信じれないような顔をしてダウンしている。
(やった・・やった・・・・)小百合は、確かな手ごたえを感じた。
ゲボッと音がしてあおむけのまま美由紀が大量の唾液とマウスピースを吐き出した。
マウスピースはネチョネチョと音をたてながら少し跳ねてペチョリと倒れて上向きに止まった。
マウスピースの歯を入れる部分に唾液がたっぷりとたまって溢れ出ていた。
(美由紀に、このパンチは届いた?・・・効いたの?)優位に立ちながらも、小百合は不安を感じた。
不安どおり、すぐに 美由紀の目に光が戻った、起き上がろうとしている
(こんな所で負けちゃいけない、弱い所は魅せられない、立たなきゃ・・・)
カウント7で、 美由紀が立ち上がった、目が少し泳いでいる。
「大丈夫?出来る?」レフリーが美由紀に問いかける。
「マウスピース・・・」美由紀は自分のマットに転がっているマウスピースをグローブで指して言った。
レフリーがそれを拾って美由紀の口に押し込む。
「大丈夫・・出来ます・・・」美由紀が答え、試合は続行された

ファイト!

しかしゴングが鳴った、試合はまだこれからだ。

 

「先輩、マウスピース出してください」
後輩の声に美由紀はハッとした、今のパンチのせいで意識がまた飛びそうになっていた。
「ご、ごめん。」美由紀はニュルリとマウスピースを後輩の手の上に吐き出した。
マウスピースから糸がツツーと伸び、それを後輩が蜘蛛の巣をはらうように切る。
「先輩、すっごい唾ですね、」独り言をいうように後輩が言いながら水でバシャバシャと洗う。
(小百合、いつの間にあんな強烈なパンチを・・・私のパンチ力に近くなって来てる・・・)

------一方、早百合サイドでは

「うわ・・・血だ・・・」早百合の吐き出したマウスピースを手に後輩がつぶやいた。
「こんなマウスピースになるなんて、凄いパンチをもらっちゃったんですね、大丈夫ですか?」
不安そうに見る。早百合は肩で息をしてこう答えた。
「大丈夫、何も話しかけないで・・・」
いつもの小百合と違う、ピリピリした空気に、セコンドの少女は少したじろいだ。

 

カーン

 

3Rが始まった。
さすがに美由紀は飛び出さずに早百合の様子を伺っている。

パンッ

子気味良い早百合のジャブが美由紀の鼻を叩いた。
「うっ・・・」美由紀が少し下がった。
(今だ!)早百合が一気にジャブやフックで美由紀をガードの上から叩く。
たまらずに一歩、また一歩と美由紀はガードしながら下がった。
美由紀はコーナーポストに追い詰められてしまった。
「やばい!」

スバン!!


早百合のストレートが顔面に炸裂した。
グシャッ!!!
今度はコーナーポストと美由紀の顔がサンドイッチになった。
「うぶぇ・・・」
汗が、果実を握りつぶしたようにビシャッとあたりに飛び散った。
早百合がグローブをゆっくりと戻す、唾液と血が早百合のグローブにべっちょりとついて
グローブがテラテラと光って見える。
ビュルッと音がして美由紀のマウスピースが血まみれになって飛び出した。
二人の間にマウスピースがビチャリと落ちる、そして美由紀はもう一度何かを吐き出すように
血のまじった唾液をドロリと吐き出すとその場にしゃがむようにダウンした。
(き・・効いたぁ・・・)朦朧とした意識の中、美由紀は感じた。
(やった・・・やった・・・)早百合は一瞬、勝者になった自分を想像した。
このたった数分間で、美由紀はボロ雑巾のようにぼろぼろになって、汗まみれの体から体臭を
立ち昇らせて肩で息をしている、汗はトランクスまでびっしょり濡らして、小百合の下半身のラインを
くっきりと出していた。無論、女性気にもへばりついて、その形があらわになっている。
「カウントするからコーナーへもどって!」レフリーが無理やり早百合を押して美由紀の前に
割り込んだ。
(これで勝てるかな・・・相当なダメージは与えた・・・)ある種の達成感を、小百合は感じていた。

しかし小百合の希望を砕くように、美由紀が生まれたての小鹿のように足を震わせながらもう立とうとして
いる。
(倒されても倒されても立つ、立って勝利を勝ち取ってやる!)
次々にカウントが進んでいく、美由紀はゆっくりと起き上がり続けている。体から一種の陽炎のようなものが見て取れる。
カウント8で、 美由紀が完全にファイティングポーズをとり、試合続行になった。

ファイト!

「くっ!」早百合は勝負に出ようと飛び出した。ジャブやフックの嵐が美由紀の顔をとらえ、美由紀の
右目が腫れて来た。
「これで倒れて!」
グワシャッ!!
「むぐっ!」フックでマウスピースが口からはみ出つつも美由紀は踏みとどまった。
「ぜ、全然効いてないわ!」
ドボッ!
負けずに美由紀は早百合のボディに強烈なパンチを叩き込んだ。
「うぐぅっ・・・・」
二人は交互に殴りあい、じょじょにボディや顔が腫れ上がって来た。
「うぅっ・・・げぇ・・」
早百合が嘔吐して透明な液体が口からほとばしり、リングの上にバシャッと飛び散る。
(また吐いちゃった・・苦しい・・・)
「ごぷ・・・」それを見た美由紀も嘔吐した。二人の嘔吐物がリングの上に二つの水溜まりを作った。
ビシャッ!!美由紀のフックで早百合の唾液と嘔吐物にまみれたマウスピースが吹き飛んだ。
早百合がダウンする
「勝てるかもしれない、勝てるかもしれない・・」そうつぶやきながら、すぐに小百合は起き上がる。
(いいわ、立つなら立ちなさい小百合。何度でもマットに沈めてあげる)
小百合は勝利に物凄い執念を燃やしている。
そして立ち上がる。今度は早百合のパンチが美由紀の鳩尾に食い込む。
美由紀がさらに嘔吐し、マウス ピースを吐き出してダウンする。
(苦しい、思いパンチだわ・・・)
お互いパンチを打ち、食らい、まるでお互いの命を取ろうかというような試合になってきた。
片方がダウンさせられれば、今度はもう片方がダウンする、そしてリングに汗と血を撒き散らしている。
二人は鼻血を出し、口から血を流しながらも気力は全く衰える様子が無い。
(怖い?痛い?いいえ、これこそ私の価値ある、黄金のような時間)美由紀はそう思いながら打ち合っている。
ズバシャーッ!
美由紀のアッパーが小百合の顎をとらえ、血飛沫が、時代劇で切られたように吹き上がる。
今度は小百合の強烈なフック!美由紀の脳は揺れ、意識を持っていかれないように必死になる。
「血まみれだ・・・血まみれで何と美しい試合だ」教師の一人がポツリと言った。

お互いに限界が迫っている6ラウンドが終わった。夢の中のようにフラフラ歩いて
美由紀は自分のコーナーに戻って椅子に座る。
ぼーっとしながらも自分の汗の匂いが香る。脇から、トランクスから。
おびただしい量の汗をかいて体中が気持ち悪いのを越して何かの液体にまみれているような
気持ちよさが全身を包む。

美由紀が自分のマウスピースをグローブの上に吐き出すと、汗をかきすぎて、体の水分が
少なくなってきた せいで唾液が泡立って
まるでタマゴの白身にマウスピースを漬けたようになっている。
マウスピースを吐き出した後も唾液が口の中に大量に溜まって、ゆっくりと口の端から
ダラダラと流れ出た、唾液は胸の谷間に溜まったが、もう気持ち悪さはみじんにも感じなかった。
光が斜光になっていてマウスピースのかみ合わせの部分の歯の跡がハッキリと見て取れて
グロテスクに見える、マウスピースを眺めていると洗うからと取り上げられてしまった。
早百合の方を見ると、同じように汗だくでダメージをかなり蓄積しているようだった。
ゴングが鳴り、マウスピースを口にまたいれる、洗った水が残っていて、むしろ唾液よりも
冷たく、不快感が口の中に広がった。

5ラウンドになっても、激しい打ち合いは続いた。
二人は打ちつかれて、グローブをあわせる形で向き合った。
「小百合、あなたを誤解してた、想像以上に、あなたは私の本当のライバルよ!」
「美由紀、私はあなたを超える!」
そして、打ち合いが再開した。
しかし、徐々に二人のパワーは落ちていっている。
パンチを打つが、序盤ほどの威力は無く、二人は絡み合うように弱いパンチの打ち合いをしている。
ほぼ密着しながらの打ち合いだ。
二人の湿った体が擦れあい、お互いに相手の体温と、体臭を感じ始めてきた。


カーン
7Rのゴングが鳴った。

もう二人には体力が残っておらず、クリンチをお互いにし合ってパンチは一発も打てない状態に
なっている。
クリンチするたびに汗だくになった二人の体がくっつき、相手の体温が伝わってくる。
(小百合!倒れるのよ、もう倒れるのよ!)
(美由紀、倒れて!一度でいいから、あなたの一歩先に出たい!)
接近戦だ、弱いながらもお互いのボディにパンチを打ち合っている。
相手の口臭、相手の脇からのむせるような酸っぱい香り。そして自分のグローブに付着した唾液の匂い、
ズムッ!
美由紀のパンチが小百合のボディにめり込んだ。
「うぐっ・・・」
小百合はそれでも必死にしがみつこうと頑張るが、ズルズルとクリンチのままずり落ちて、美由紀の股間に
顔をうずめるような形になった。
(ああ、美由紀のあそこの匂い・・・このままずっとこうしていたい!)小百合はその匂いに虜になった。
美由紀も、明らかに自分の秘部の匂いを嗅がれている事は分かっていた。
(力が・・力が出ない・・・)美由紀はそのクリンチされている上に覆いかぶさった。
二人の体臭が交じり合う、リングの上にその香りは漂い、レフリーもそれを強く感じ、興奮した。
「はぁ、はぁ、」二人は肩で息をする、そのたびに甘酸っぱい口臭をお互いに感じる。
クリンチのまま、小百合が動くたびにネチャリと、二人の交じり合った汗が音をたてる、まるで濡れた
女性器を愛撫しているかのように、ヌチャリ、ヌチャリと音は続く。
小百合は、また美由紀の腰のあたりにクリンチしている。
(美由紀、美由紀!)
早百合は自分にとって美由紀はよきライバル、そしてよき親友であるという気持ちが急にふつふつと再度沸いてきて、
その中に美由紀を実は本気で好きであったという感情がたまらなく沸いてきた。
(一発だけ、一発だけ神様、力を下さい!) 小百合の興奮は頂点に達した。
そして、美由紀にも同じような感情が沸いてきた。
(小百合! 私の可愛い小百合!)

「小百合ーっ!」

「美由紀ーっ!」

二人は叫んで、美由紀は上から、小百合は下からパンチを放った!!

グワシャッ!

マウスピースが空高く飛ぶ!そのままマウスピースは上昇して行き、ライトに照らされた「それ」に皆の視線は集中した。
そのままマウスピースは孤を描き、そのままマットに落ちてきた。

ボトンッ!

会場が静かになる。
小百合は美由紀のパンチをかわし、美由紀の顎に強烈なアッパーを決めていた。
ダダーン!
美由紀が糸の切れた操り人形のように倒れた。
美由紀はリングの上で激しく痙攣をしながら唾液を噴出している、そして股間から液体がジワジワと流れ出して、水溜りを作る。
リングの上に尿の香りが広がった。
マウスピースからゆっくりと液体がにじみ出て、その場にみるみる溜まっていく。


テン!

カウントテンのレフリーの声を聞いた瞬間、小百合はビクッとした。
「テ、テンカウント・・・私が・・・勝った・・・

まだ信じられないようだったが、自分の拳には、最後のパンチの感触がしっかりと残っていた。
倒れている美由紀を見ると、今まで戦った中で一番強敵で、一番尊敬できる人間が、無様に転がっていた。
体中汗まみれで、ボロボロで、尿を漏らして、女性器をトランクスごしにしっかりとあらわしながら。
それを見て、小百合の目からは涙が溢れ出した。自分の確かな存在が確証されたと同時に、そのライバルのだらしない姿を
超えて、なまめかしくも卑猥な姿に同情したのか、複雑な感情に襲われたからであった。
その壮絶な死闘が終わり、予想外な人間が勝った事で、学校側はどよめき、レフリーもあっけにとられてリングの上に立ち尽くしている。
「おい、レフリー、勝ちを!」校長らしき人間が声をかけ、レフリーはハッと気が付いたように小百合の手を挙げた。
「勝者、小百合!」
そして拍手が嵐のように沸き起こる、その中で、美由紀がうごめいて立ち上がろうとしている。
さらに小百合の目から涙が出てきた、勝利の喜びもどんどん大きくなってくる。
美由紀は、そのまま担架で、体育館の外へ運ばれていった。

「み、美由紀?」小百合はおそるおそる、医務室を覗いた。
美由紀は、ベッドから上半身を起こして窓の外を見ていた。
「美由紀?」もう一度呼ぶと、美由紀は首を小百合に向けた。
「ああ、小百合。」
「美由紀、だ、大丈夫?」いつものおっとりした小百合だ。
「大丈夫よ、あなたこそ大丈夫?」
「うん、全然平気」
「・・・・・」
「・・・・・」
沈黙が十秒程続いた。
「小百合、実は、私、あなたを・・・」
「その先は言わなくても分かってるわよ」
二人は笑顔を交わした。
「私も、美由紀の事好きよ、ハグしていい?」
「ちょ、ちょっと、ここで・・・」
言葉を遮るように、小百合は美由紀を抱きしめた、そして
「今度はプロのリングの上でね」と一言言って、医務室を後にした。」

 



「じゃあね、早百合。」
美由紀は校門で手を振っている。
「うん、また手紙出すよ。」
早百合は少しばかりの荷物を背負って手を振る。
「そうそう、美由紀、ここの学校で先生を目指すんだって?」
「うん、それが自分に合ってるような気がする、自分には戦う事しか脳が無いし。」
「そう、頑張ってあなたが先生になったころ、私もきっと戻ってくる。」
お互いを分かっているからこそ、短い挨拶で二人は別れた。
それは風の気持ちよい春の日だった。

 

END

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